AIを活用したショートTVアニメ「小泉八雲のKWAIDANの世界」が、「アニメルック版」と「実写ルック版」に分けて、島根県・鳥取県を放送エリアとするフジテレビ系列のTSKさんいん中央テレビで放送開始。併せてスタッフ、ティザーPVが公開された。
「小泉八雲のKWAIDANの世界」は、島根の松江市に居住し、日本の怪談文学に大きな足跡を残したラフカディオ・ハーンこと小泉八雲の作品が原作。同一のシナリオを使って、一般的な2Dアニメ調の「アニメルック版」と、AIによるフォトリアルな表現で怪談の恐怖感を強調した「実写ルック版」という2つの異なるアプローチで、小泉八雲の幻想的な世界観が再現される。「アニメルック版」は10月2日、「実写ルック版」は10月3日にそれぞれ放送がスタートする。
監督・脚本・編集を務めるのは、「秘密結社 鷹の爪」など独創的な映像作品で知られるFROGMAN。制作は、DLEが新たに設立したOBETA AI STUDIOが手がける。アニメのナビゲーションキャラクターとして登場する紺霞(こんか)のデザインは、松江市出身のマンガ家・いずみせらが担当。キャストには、松江観光大使でもある茶風林のほか、伊藤美紀が名を連ねた。
なおこれらの情報は、去る9月6日に八雲ゆかりの松江市の月照寺での制作発表会で明かされたもの。当日はTSKさんいん中央テレビの代表取締役社長の田部長右衛門氏、DLE代表取締役社長で、監督・脚本・編集を務めるFROGMANこと小野亮が登壇し、トークを繰り広げた。また、声優を務める茶風林によるビデオメッセージも公開された。
田部社長は、「NHKで放送される朝ドラ『ばけばけ』がある中で、TSKでも何かやりたいという中から始まった企画。最初にアニメルック版と実写ルック版を見せていただいたときにそれぞれの良さがあり、どちらも見てほしいと思った。スピード感を持ってできた企画でもあり、これまではできなかったこと。AIを使うことで地方局でもこんなチャレンジができるのは新たな扉が開いた印象だ」とコメント。茶風林はビデオメッセージで、「松江観光大使を拝命し、小泉八雲の怪談を語る会を実施していますが、そういったご縁もあり、今回、小泉八雲の作品のアニメ化、さらに同じシナリオで実写風でも表現するという斬新な企画に参加させていただき、とても光栄で楽しみです。どうかご期待ください」と語った。
FROGMANは、「小泉八雲は日本の文化を大切にし、物語を書いた。今の日本では薄れてきたと感じられる日本の文化をこの作品で感じてほしいという思いを込めて作っている。AIでは今まで簡単には作ることができなかった実写風など様々なルックを試すことができ、海外向けに多言語化なども容易にできる。こういった地方との取り組みも今後増えると思っているし、地方から世界に発信できるところを証明したい」と、意気込みを述べる。また記者からの「AIと怪談表現について」の質問に対しては、「AIには魂が感じられず不気味と言われるが、ホラーや怪談にはそれが逆に向いているかもと感じた」と返した。
「小泉八雲のKWAIDANの世界」
放送情報
TSKさんいん中央テレビ:アニメルック版 2025年10月2日(木)より毎週木曜日20:54~21:00、実写ルック版 2025年10月3日(金)毎週金曜日24:45~24:51
スタッフ
監督・脚本・編集:FROGMAN
キャラクターデザイン(ナビゲーションキャラクター「紺霞」):いずみせら
制作:DLE | OBETA AI STUDIO
製作・著作: 山陰中央テレビジョン放送、ディー・エル・イー
キャスト
茶風林
伊藤美紀
(コミックナタリー)