romance2さんがつけた評価
話は軽妙で、問題を深刻に持ち込んだりしない。展開にはイージーさがあることは否定できない。
ヒロ...(続きを見る)
話は軽妙で、問題を深刻に持ち込んだりしない。展開にはイージーさがあることは否定できない。
ヒロインの、結婚に対するスタンスはHQど真ん中。
愛し愛される関係を望むために二人の事は慎重。
彼の姿勢、結婚に対する捉え方、そして、何より彼は自分に対してどうなのか、重要視するところ定石通り。
話は彼の人生の方の、突然表面化した一大事で、彼の自分自身の根本を揺るがされることによって始まる。
一口に人は不倫を善悪だけで切り分け、思考をストップさせるが、不倫をされた裏切られた側の人間は全く問題無かったのかどうか。
代償は不倫関係にあった二人だけが払ったということにはならない。
けれど、子どもには何の罪もない、という一点の事実を形で体現しきった彼の両親は、世界中の両親の理想に違いない。
しかし、どうしてもひっかかる。
このストーリー、ブレッドの支払った代償は痛ましいと。
彼は、最も愛する人とは、相手が既婚者であったがばかりに添い遂げられず、また、その愛の結晶を己れの手に抱くことを生涯許されず、これ程辛い代償はなかったろう。察するに痛ましい。これも、ひとは、思いを一度は遂げて通じたのだから思い出とすべしと、気楽なことを言うかも知れない。傍に居続けることを許されなかった状況は、自分が男なら耐えられたのか?
HQのヒロインの相手の男性は通常、君がいなくなったらと思うと耐えられない、なんて感じる人物を据えているのに? このストーリーは、ブレッドさんがそのポジションにいないがために、影の存在で終えるが、私の目には、人を好きになることの苦しみを背負った、裏の主役のように表の主役たちの幸せの強さ分だけこの話の負の濃さが痛々しい。花も嵐も踏み越えた理想的な夫婦の姿を描くことで、光の強さだけ影も強い。
わたしは、死ぬまでこんな形でしか我が子に接することのできなかった、ブレッドに、人は全員が人を愛することの甘い結末を得られるわけではないリアルを感じ、何十年も彼がついに手にすることの出来なかった幸せ、そこから縁遠かった彼の人生に涙がこぼれる。
補足:実は紙でも読んでいるがここでも読み直したくてやった来た。スマートフォン画面は小さいから目立たないけれど、コミックスサイズで見る絵は少し走ったような輪郭線で、書道でいうなら止めやハネが少ないような印象。もう少し時々カッチリした人物のラインも見たかった。(閉じる)
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