王道では物足らない欲張りさん向け! ひと味違うオメガバース特集!
数年前、彗星の如く腐女子ワールドに登場した「オメガバース」。みるみるうちに人気を得て、オメガバース専門誌まで刊行されるようになりました。今ではBLジャンルのひとつとして当たり前のように各書店に鎮座するオメガバースですが、定番のα×Ω作品にややマンネリ気味な方、もしかしていらっしゃるのではないでしょうか。王道α×Ωも良いけれど、あともう少しスパイスが欲しい。あるいは奇をてらった作風のものが読みたい! そんな皆さまの心の声にお応えして、今回はオメガバース作品の中でも一風変わった設定のものやα×Ω以外のカップルを描く8作品をご紹介したいと思います♪ ひと味違うナニかを持っているものばかりですので、そちらも含めてお楽しみ頂ければ幸いです。
それでは早速見てまいりましょう~!
二代目ヤクザとおバカヤンキーのエロエロ発情ガチバトル
α×Ωというオーソドックスな組み合わせですが、そこにヤンキー要素が加わると新たな萌えに変化するのがBLの不思議なところ♡ 本作は、ヤクザの二代目・ハチとヤンチャでおバカなヤンキー・クマが繰り広げるガチンコオメガバース!!宿敵・ハチと決着をつけようと決闘を申し込んだのも束の間、クマを襲う突然のヒート! 鼻血と汗と涙とヨダレに塗れたクマの動揺した表情のエロいことエロいこと。そんな彼を前にしてαのハチが抑えられるわけもなく、そのまま河川敷で激しく一発。それ以降、ハチでないとダメなカラダになってしまったクマは、健気に可愛く、おバカにハチを求めるようになります。ケンカしかしたことないようなふたりが大層ぎこちなくデートをするシーンは、尊いと可愛いの極みとしか表現できません(笑) そしてとにかくエッチシーンが壮絶にエロい(♡) とろっとろに乱れたクマの表情、必見ですよ~!
また、脇キャラとして登場するインテリ美人(Ω)ヤクザと天真爛漫な二代目ヤクザ(α)の年の差カップルも胸キュン要素たっぷり! 詳細は「かくれんぼハニー」で!
ぜひぜひ2組それぞれの恋路を楽しんじゃってください!!
マイペース転校生と身寄りのない青年の純愛オメガバース
主人公は田舎町に住むΩの花人(はると)。ただでさえ性別を理由に周囲からは避けられているのに、母親も蒸発してしまったためウリをしながら学校に通うというハードな生い立ちの少年です。にも拘わらず本人は意外と強く逞しく生きていこうとするタイプ。悲壮感漂う少年だったら読むのが本当にツラくなりそうですが、本人の性格もあってかそこまで重くなり過ぎない作品でした。
転校生でβの高城にフ●ラ現場を見られてしまうという最悪の出会い方をしたふたりですが、紆余曲折ありつつ・・・。性別を理由に差別をしない高城に人生で初めて恋をした花人。本気の恋だからこそ相手の幸せを願って身を引こうとする姿は、恋というより愛に近いかもしれません。高城の方は、一見オレサマかと思いきや割とマイペースな性格。でも、ここぞという時はカッコイイ、男気ある攻です。彼も彼で「運命の番にはなれないから本当に幸せにしてやれないかも」と思っている辺り、やっぱりこのふたりの関係性は愛だなぁとしみじみ思いました。
オメガバース初心者に特にオススメです!
財閥御曹司と奴隷 残酷で美しい身分違いの恋
エッ、これデビュー作なんですか!?そう思わずにはいられない読者も多いのではないでしょうか。
本作は、明治時代を舞台にした御曹司と見世物の青年のシンデレラストーリー。「身分違い」というジャンルは戦前を舞台にした作品でよく見かけますが、そこにオメガバースを組み合わせることで切なさのWパンチというか、漢字で表すなら「切甘切萌切悲悲切切甘」といった状態に陥ります・・・。αやΩといった性別に対する知識も世間一般に周知されていないため、それがΩ(作中だと“サカリ”)への偏見を加速させているのでしょう。そんな虐げられる身であるマヤを救ったのは、誠実な性格の御曹司・征爾で。彼と出会ったことでマヤの人生そのものが変わります。しかし恋をした時のワクワク感から一転、マヤは絶望の淵に落とされ・・・。その心情変化を安堂先生は瞳の描き方で表現しています。ぜひ読む際はマヤの瞳に注目してみてください。
また、マヤの理解者・千代、征爾の友人・浮江などの脇キャラも愛すべき存在。良き友たちに支えられたふたりが、どういう過程で愛を掴み取ったのか。途中で某キャラに怒りを覚えるシーンもあるかと思いますが、どうか最後まで見届けてあげてください。
αの副社長かβの部下か? 狭間で揺らぐエリートΩ苦悶の日々
オメガバース界隈で、性別を偽るということは珍しいことではありません。多くの場合、Ωがβあるいは稀にαとして振る舞うことで社会的な差別を回避しようとします。本作の主人公・雪代も性別をαと偽ることでエリート出世したΩです。そんな彼の前に突如として運命の番が現れたら……? 一時帰国した副社長・柊と偶然鉢合わせたことで隠してきた雪代のΩ性が暴発! ほぼ初対面にも関わらず、お互いに「運命の番だ」と認識します。この状況に動揺する雪代。彼を支えるのが古くからの雪代の理解者でβの五月女です。以前からお互いに対して特別な感情を抱いていたふたりでしたが、スパダリα・柊の登場で事態は修羅場に・・・!? 作中で紡がれる「αとΩの主従関係はそんな物語のような綺麗なものじゃない 呪われた運命だよ」というセリフが読者にこの世界の残酷さを突きつけてくるようでした・・・。
心とカラダを強制的に引き裂きもする性差が、三角関係をより一層波瀾の展開へと導くというハラハラドキドキな本作。果たして3人はそれぞれどのような選択をして動いていくのか・・・最後まで目が離せません!
元いじめられっ子Ωによる、オレサマα強制メス化計画
病み系執着Ωによる下剋上BLここに見参! モテモテでオレサマ気質なαの楓、そんな彼に昔助けられたΩのあずさ。楓を自身のヒーローとして想い続けてきたあずさとしては、どうしても番になりたかったのでしょう。「何でも言うことを聞く」という条件つきで付き合うことなったふたりですが、そこからのあずさは意中の人をあの手この手で落としにかかるガチっぷり! 抱く側だった楓を快楽でグズグズに蕩かすばかりか、自身のヒートを利用して強制的にうなじを噛ませるほど! 病んでるというよりも、したたかという印象を受けました。あずさを受け入れまいと必死に抵抗していた楓が、いつしかあずさに依存していることに気付き・・・? 下剋上BLの王道ですが、オメガバースの特性をいかすことで更に「落としてやった感」が増しますね~!
そして、オメガバースの醍醐味である濃厚エロもお見逃しなく! 擬音も汁もトロ顔も楽しめるエッチシーンはニヤニヤ必至です♡
強気なαを攻め落とす! そんな爽快感を愛情たっぷりにお楽しみください。
寡黙系エリートリーマン×ヤンチャ系造園家の新婚マウント大合戦
成り上がり一族の息子・隆臣と没落寸前の一族の息子・一昌。縁組で結ばれたふたりのドタバタ劇をコメディ要素たっぷりにお送りするのが本作「奥様はα」です!
何の変哲もないカップルの隆臣と一昌ですが、ある問題を抱えていました。そう、実はふたりはどちらもαなんです!本来であれば攻になるのが一般的なα同士ですが、今回は政略結婚。さてさてどうするか。一応ここは全ての性別が妊娠できるオメガバースの世界。どちらが攻めるのかを巡り、攻防を繰り広げます(笑) セックスは相手の愛情を肌で直接感じる行為。だからこそ自分のこだわりも大切にしたい。そんなふたりの気持ちが絶妙に擦れ違ってしまう様子はもどかしいけれども愛おしい。そんな中で孫を急かす姑が登場したりするわけで、「ああ、これがきっとこの世界の一般的な家庭なんだろうなぁ」と、ファンタジーだと分かりつつも妙に現実味を感じてしまうところが本作の魅力かもしれません。
オメガバースの世界をコミカルに描く作品ではありますが、どこか現代社会に通じるようなリアリティも感じられる作品として、明るめのストーリーをお求めの方にイチオシしたい一作でした!
<あらすじ> |
ドS作家×遊び人ホストほか、組んずほぐれつ大乱交オメガバース
ここで非常に珍しいΩ同士の組み合わせを読める作品をご紹介! 本作では計3組のカップルが登場します。
ホストの結真(α)×恋人のとも(Ω)。結真は遊びと金が大好きなクズ人間ですが、実は読書好きな一面も。そんな彼が心酔している作家が堤(α)でした。ひょんなことから結真は堤とお近づきになるのですが、憧れの堤を抱くつもりが逆に抱かれてしまい!?物語序盤で早くもα×αの調教展開へ突入、後ろでイケるカラダに・・・。そんな結真の動揺やイライラを真っ直ぐに受け止めようとする恋人のとも。幼馴染の星(Ω)に度々相談するのですが、実はこのふたり学生時代に一線を越えていました。お互いを思って「ただの幼馴染」に徹しているのです(泣) そんな折、星は担当作家の堤が幼馴染のともの恋人で遊んでいるという事実を知り・・・。と、もう大波乱の予感! 堤が中心となって、結真・とも・星を交えての大乱交へ発展!
一見すると和を乱したかのように思える堤。しかし実際は、その歯車は噛み合っているかのように見えただけで・・・堤が登場したことでそれぞれが本当の気持ちに素直になれたと言えます。ひと山もふた山もありましたが、最後はきちんとハッピーエンド! 安心して読んでください!
αを嫌悪する同僚×優等生リーマン×夢見るΩの仄暗オメガバース
最後にご紹介するのは、α・β・Ωという三者三様の人生観を堪能できる作品です。妙に人間臭く、リアリティのある作品をお求めの方にオススメです。
物語は同じ会社で働くサラリーマンの緒方(α)・綾瀬(β)・神谷(Ω)にスポットを当て、それぞれの生い立ちや置かれた環境に基づいてじっくり人格を追っていくというもの。βという境遇ゆえにαを憎むようになった綾瀬は、Ωの後輩・神谷を利用してαの緒方を陥れます。緒方は社会の強者から組み敷かれる立場に転落し、傍観者でしかなかったβが優位に立ったわけです。しかしこの事件は緒方に苦しみを与えるどころか、寧ろ彼の本性を開放することになってしまい・・・!?最後の最後まで油断できないドラマ性をはらんだ展開です!
一方、利用されたΩの神谷ですが。ウリをしていた頃に出会った紳士なイケオジαとの縁で今の会社に入社したという経歴を持ちます。Ωである自分をひとりの人間として扱ってくれる彼と番になりたい。そんな神谷のプラトニックさにも触れられる作品です。
各キャラの深層心理に着目した非常に深い作品でした。仄暗い物語がお好きな方、是非どうぞ。
以上8作品を紹介させて頂きましたが、いかがでしたか? 心に響くオメガバース作品に出会えていれば幸いです。こうやってまとめてみますと、α受というのがやはり一定の需要があるようですね~。意外とβを中心に扱う作品が少ないので、平凡キャラ大好きマンとしては今後β受などがもっともっと増えてくれれば良いなと思う所存でございます(笑)
定番の組み合わせに囚われず、自由にカップルを成立させてしまうのが腐女子の強み!今後も様々なシチュエーション、キャラ設定でのオメガバース作品が生まれることを心より願っております♡