あなたが最後に泣いたのはいつですか?子供の頃はちょっとしたことでもワンワンと泣いていたのに、大人になればなるほど泣かなくなる一方ですよね。でも、泣くことは大人にこそ必要かもしれません。仕事で失敗をしたとき、恋愛がうまくいかなかったとき、友人とケンカしてしまったとき......。日々を乗り越えていくためにも、BL小説で泣いてストレス発散しちゃいましょう!さて、今回の特集は「泣けるBL小説特集」。小説の特集は久々となりますが、思わずポロッと涙が溢れるような作品からガチ号泣してしまうような作品まで幅広くチョイスしました!気分に合う作品を読んで、涙活始めませんか?
同じように愛し合うことの難しさ...切なすぎて涙腺決壊!
幼馴染同士の片想いラブといえば王道中の王道ですが、『愛はね、』はそれだけでは収まりきらない、「愛とは何か」を考えさせられる深~い物語です。優しすぎて流されまくりな望は、幼馴染の俊一のことが好き。でも、俊一は望のことを大切な親友としてしか見ていないのです......。もうこの時点で切なさに胸が締め付けられてしまいますね!
望は俊一が振り向いてくれないことに傷つき、俊一の代わりにろくでもない他の男と付き合い続ける日々。俊一も俊一で、なぜ望は自分の友情に対して同じ気持ちを返してくれないのかとイラつく気持ちを抑えられずにいます。別々の形でお互いを愛する2人は、その形が合致しないことでどんどん傷つけ合ってしまうのです!なかなか向き合うことができない2人の切ない心情にじわりじわりと目が潤んできます......!
10代という青さ、綺麗ごとだけじゃすまない人間臭さが巧緻に描かれている本作、ぜひ読んでみてください!
<あらすじ>
予備校生の望は、幼なじみの俊一に片想いをしている。けれど、ノンケの俊一は決して自分を好きにならないと知っている望は、その想いを胸の奥に閉じ込めるしかなかった。他の誰かを好きになろうと、駄目な男と付き合っては泣かされる日々を繰り返す望。一方、そんな望にうんざりしながらも放ってはおけない俊一は、いつも望の世話を焼いてきた。しかし、そんなふたりの関係が変わるときがやってくる。俊一の知人・篠原が、望と付き合いたいと言ってきたのだ。それを後押しする俊一に、抗えず従う望だが......。
届いた恋文に涙必至!美しくも胸を締め付ける切ない心理描写
あなたは誰かに告白するとき、どんな手段を使いますか?この物語は、現代ではあまり見かけなくなった「ラブレター」がテーマのすれ違いラブです!
恋文代筆を副業にしている槙は、何度も同じ男への恋文をしたためていました。ある日、手紙の相手の男前組長・倉田と出会い、今度は倉田が好きな相手に向けた恋文を代筆することになります。倉田の愛する人というのは槙のことなのですが、ちょっぴり天然な槙はなかなか気付かず。じっくりデートを積み重ね、徐々に徐々に距離を縮めていく2人に胸キュンが止まりません!しかし、恋仲になると思った矢先、組の抗争問題が勃発し2人の仲は険悪になってしまうのです......。
障害に苦しむ2人の感情が詩のように緻密に麗しく描写され、世界観に引き込まれます。その繊細な心理描写と、大正時代の風情ある情景描写に感受性が高まること間違いなし!情緒たっぷりな切ない両片思いに涙がポロリと零れ落ちます......!
<あらすじ>
大正八年。新橋で税理事務所を開いた槙は、副業として恋文の代筆も請け負っている。その宛先のほとんどは、新橋界隈の芸姑や女給たちから絶大な人気の倉田組・三代目だった。ある日、槙は暴漢に襲われたところを偶然、倉田に助けられる。今まで何通も恋文を書いてきた相手である倉田を目の前にして、槙はなぜかずっと恋い焦がれていたような気持ちになってしまい...。
健気な魔物と人間...優しい涙が溢れる人外ファンタジー
日々の疲れが浄化されていく......そんな癒しの涙が止まらない作品がこちら。まさに涙活にピッタリのストーリーとなっております!子どもの正人と野球をする魔物「青」が幸せそうなのを読むと嬉しくもあり、胸が締め付けられます。どこまでも純粋で優しいからこそ自分を犠牲にしてしまう青。「幸せになってほしいぃぃ」と涙腺崩壊必至です。そしてそんな青のお相手、正人。子どもから大人になり、やんちゃな子から落ち着いたイケメンに成長します。体調の悪い青を看病する正人が「あ~ん」してあげるシーンは、萌えのオンパレード。正人の「可愛い」発言や、青を正人が着替えさせるなど1シーンにキュンがいっぱい詰まっています。青のこととなると必死な正人......記憶を失っていても子どもの頃に戻ったようで、愛を感じます。まるで童話のような世界に魅了されつつ、辛かったからこそのハッピーエンドが身に染みる一作でした。
<あらすじ>
遠い昔に宇宙から飛来してきた生き物たち。当初人間たちと共存していたが、ある時を境に「魔物」として迫害され伝説の生物となる。長い月日が流れ、最後の生き残りとなった「魔物」はある日、人間の男の子・正人と出会い「青」という名を貰い仄かな想いを抱く。大人になった正人と再会した青は人間の青年に姿を変えて彼の役に立とうとするのだが?
17年間忘れられなかった...新聞記者視点で紡ぐ運命の恋
大切な人とある日突然連絡が取れなくなったら?時が経つにつれて焦がれる気持ちはだんだんと消えていくのでしょうか。こちらの作品は17年の月日を経ても忘れられなかった恋のお話です。いちょうの木の下で待ち合わせをした冬梧と望の銀杏トークがこんな切ない場面に繋がるとは......!いちょうが詰まった封筒を見て冬梧が泣くシーンに、読者も溢れる涙をとめられないハズ。再会できそうになった後もふたりはじれじれで......。冬梧の「太ってもはげても好きだよ」発言がかっこよすぎました......!まさに17年越しの愛を体現したセリフですね!最後に別れた展望館で再会するふたりの会話はぎこちないですが、冬梧が恨み事を言いつつも愛を伝えていく姿に、彼らのこれからの幸せを願わずにはいられませんでした。
それぞれに抱えるものがある若い2人の恋から、長い時間を経た2人の変わらない愛まで思う存分に味わうことのできる一冊ですよ!
<あらすじ>
ある夜、新聞社勤めの冬梧が証明写真を撮っていたボックスに見知らぬ青年が闖入、身も世もなく泣き出してしまう。お詫びをと連絡してきた製薬会社勤務の望と交流を重ね、冬梧はデートめいて心地いい時間に戸惑う。やがて懇願される形で体をつなげ、すでに惹かれていたのだと観念した冬梧だが、望はその日から「もう会えない」人になっていた――。
「こんなクズに泣けるわけない!」からの大号泣...不幸受必読の書!
「泣ける」特集じゃなくて、「クズ」特集じゃないの?読み始めてそう感じる方、いらっしゃるかと思います。しかし!!読了後には切なさで胸がはちきれそうになること間違いなし!主人公・志上(受)は女性にもお金にもだらしないクズホストなんですが、どんどんいじらしくなっていくんです。お風呂どころか自慰まで保高(攻・研修医)に手伝わせていた傍若無人な志上が......!会うたびに料理を振る舞ったり、電車で寝過ごしたフリをしてまで保高に会いに行ったり......驚きの変貌ぶりです。自らの愛は知っても、相手の愛は信じ切れない――発する言葉とはかけ離れた場所にある志上の思いに胸が締め付けられました。とうとうと語られるモノローグで涙が止まらなくなるのは小説ならではです。一方の保高は、懐の広さ海クラスの忍耐&奉仕っぷり!何でもない日に似合うと思った服をプレゼント......恋心を自覚していないうちから志上のことが好きで好きで仕方ないんですよね。序盤と終盤の志上のギャップにハマること請け合いです!クズっぷりに呆れていたら、いつの間にか泣いている......そんな不思議な作品でした!
<あらすじ>
病院で目覚めた志上里利は、自分が中学時代の同級生・保高慎二の乗る車に撥ねられたのだと知る――十年ぶりに再会した保高は、その病院の研修医だった。利き腕を怪我して不自由なところを、保高の部屋に招かれ甲斐甲斐しく世話を焼かれる志上。保高のことが気になりながらもつい反発してしまうが……。
健気受、すれ違い...王道だらけのオメガバースメロドラマ
王道展開が好きなくせに、なぜか反抗心があったスタッ腐。「泣くもんか~!」と思いながら最後にはボロボロ泣きました。だって受・優杏がとっても健気で頑張り屋さんなんですもの......!Ωでも、得意なお菓子作りでいつか独り立ちしてみたい、という夢を抱いていた優杏。しかしそれは、Ωが子作りの道具と考えられている学院のなかでは異端な考え方でした。そんな彼は、やがて貴族のα・キースと強烈な恋に堕ちていきます。それから様々な試練が襲いますが、どんなときも優しく、芯を持って生きていく優杏に惚れ惚れするはずです。キースと惹かれ合いながらもすれ違ってしまう様子に「どうか優杏を幸せにしてあげてええ~!」と思わず叫びたくなりました(笑)波乱たっぷりの展開に胸を締め付けられつつ迎えたラストシーン......これはもう感極まってしまうのも仕方ありません!そしてもちろんオメガバースとあってエロもたっぷり楽しめることをお約束いたします♡
<あらすじ>
運命でなくていい、お前が欲しい
密かに想いを寄せるキースと正体を明かさず一夜を過ごした優杏。四年後、優杏の前にキースが現れ……。オメガバース・シークレットベビー
子作り専用オメガを育てる学院の生徒・優杏は、自由に生きたいという願いを理解してくれた貴族でアルファのキースを密かに慕っていた。発情期の夜、運命のつがいとして彼と結ばれるが、規則を破ったことで彼が狙われることに。愛する人を守るため黙って姿を消す優杏。しかしその身には彼の子が。四年後、ひっそり子育てする優杏を探し当てたキースは自身が子の父親だと知らず、裏切られたと勘違いしたまま執着してきて――。
ただの記憶喪失BLじゃない!壮大すぎる人生に涙する大人気シリーズ
言わずと知れたBL界の巨匠、木原音瀬先生。中でもこの「COLDシリーズ」は木原節が存分に発揮された、まごうことなき名作と言っていいでしょう。記憶喪失と聞いてよくある設定だと思われるかもしれませんが、この作品は単なる記憶喪失ものではありません。これは記憶を失った青年・透とその友達だと名乗る男・藤島、2人が繰り広げる愛と人生の物語なのです。正直、彼らの苦しみやどうしようもない現実に胸を抉られ、もうこれ以上読めないと思うこともあるかもしれません。それでも読んでほしいです。人間というのは白黒つけられない生き物......。誰が悪くて誰が正しいかなんて、実は誰にもわからないのです。それでも目の前の現実から目をそらさず、前に進んでいかなければならない。そんなことを教えてくれる作品でした。木原先生自身が『COLD FEVER』を書くための前2巻『COLD SLEEP』『COLD LIGHT』だったとあとがきでおっしゃられているように、この本の真髄は第3巻『COLD FEVER』です。つらくても、涙が止まらなくてもぜひ最後まで読まれることをおすすめします。
<あらすじ>
事故で記憶をなくした高久透は、友達だと名乗る年上の男・藤島に引き取られる。藤島は極端に無口なうえ、透の「過去」を何ひとつ教えてくれず、透はどこにも居場所がないような寂しさを募らせる。しかし藤島とともに暮らすうち、彼の中に不器用な優しさを見いだして――。
<あらすじ>
透をかばって負った傷も癒え、藤島の退院の日がやってきた。再び二人の生活が始まり、恋人として暮らしたいと願う透だが、藤島は「君と恋愛するつもりはない」と拒絶する。透の記憶が戻れば今の関係を忘れられてしまうことだけでなく、過去の何かを藤島は恐れていて――。隠された過去が明らかになり、ますます盛り上がる第2弾!
<あらすじ>
ある朝目覚めた時、透の時間は六年の月日が経っていた――。事故でなくした記憶を取り戻したものの、周囲に愛されていた“もう一人の自分”の影に苦しみ、さらに誰よりも憎んでいた男・藤島と同居していたことに驚愕する。藤島に見守られ、失くしかけた夢と歳月を取り戻そうとする透だが、藤島の裏切りが明らかになり――!シリーズ最終巻。
いかがでしたか......?どの作品も大号泣必至の感動作ばかりでしたね。ぜひ実際にお読み頂く際にはバスタオルをご用意の上、またご自身の精神状態に合わせて作品を選んで頂ければと思います。小説ならではの重厚感あふれるストーリーや緻密な場面描写をどうぞご堪能くださいね!