デリケートなテーマに優しさが光る
本作の登場人物・瑠莉は吃音(きつおん)です。
生き辛さや自己嫌悪を抱えながら過ごす彼ですが、手を差し伸べる高科の存在によって、我々読者にいろんな表情を見せてくれるようになります。
その素直な姿が愛らしくて、小動物のように愛でてあげたくなること間違いなし。
そんな瑠莉が、大切な人のために奮闘する姿勢には思わず涙…。
こんなに必死に頑張っているのを見たら、放っておけないですよね。
高科も生ぬるい優しさを向けるのではなく、まるで歩幅を合わせていくように寄り添っていく丁寧さが素敵なんです。
ふたりの愛と共に、助け合うことがいかに大切かということを、改めて噛みしめます。
好きだから、助けたい。
攻・福冨のまるで侍のような硬派な姿勢が印象的です。
借金を抱えて奮闘する笑(えむ)をどうにか助けられないかと考える福冨の人のよさが光ってます(ちょっとずれているのもなんだか可愛い…)
素直になれない笑ですが、食パンとジャムで喜んじゃうような姿を見ると、福冨が過保護になる気持ちもわかるような…。
また、本作に出てくる福冨の祖父・権造さんも非常にいいキャラ。縁を大切に、なんてすごくカッコいい。
人情溢れる展開にも是非、注目してみてください。
パパとパパとママがいるの。
みんなよりひとり多いの。いいでしょ。
本作に出てくるあゆちゃんが放つこの一言。
子連れ系BLに出てくる子どもたちは、ふとした瞬間にカップルのふたりを救うことが度々ありますが、本作でもそういった姿を見ることができます。
たくましくてチャーミングな描写がすばらしい…ふたりの"パパ"が溺愛しちゃうのも納得です。
登場人物はみんな優しく、いつもあったかい。
子育てに奮闘するパパたちの姿にもそっとエールを送りたくなります。
絆の強さがじんわりと心に染みる。そんな素敵な物語を是非読んでみてください。